古物商許可証の申請方法をわかりやすく解説!
中古品の物販や買取ビジネスをする際に知っておかなければならない知識に、古物商許可があります。古物商許可とは、法律の規定に該当する物品の取引は、古物商許可証を取得した個人または法人のみがおこなえるという規則です。
最近はフリマアプリの個人利用などが増えていますが、許可を得ずに該当する取引をおこなうと罰則を課せられる恐れがあるため注意が必要です。この記事では、古物商許可証の申請方法について解説します。
1.古物商許可証とは?
1-1.古物商許可証が必要な理由
古物商許可証とは、古物営業法に定められている取引をおこなう際に所持しておかなければならない許可証になります。主に、中古品の売買や交換、レンタルなどが該当する取引となり、古物商許可証を未取得のまま該当する取引をおこなった際は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられることがあります。
近年はフリマアプリで中古品の個人取引が増加したり、副業ブームで物販を始めたり、買取などの業種で独立開業を目指す方も増えており、古物商許可証についての話題も多くなりました。
古物商許可証が必要な理由としては、犯罪の防止が挙げられます。フリマアプリやオークションアプリの取引では、身分を明かさずに売買ができるサービスも増えており、盗品や偽物への警戒がますます高まっています。
例えば、料金を受け取って回収したものを販売する取引には古物商許可証は必要ありません。なぜなら、盗品を販売する人はいるけれど、盗品に費用を支払ってまで提供することは考えにくいからです。
条件が細かく古物商許可証の要不要の線引きが少し難しいため、次項で詳しく解説しますが、いずれにせよ、古物商許可証の取得は法に則った取引を実施している証明になりますので、許可証の取得が顧客からの信頼獲得にもつながります。
1-2.【必要】古物商許可証が必要な取引とは?
古物とは中古品のことを指していますが、古物営業法で13品目に定められており、衣類や美術品、時計や事務機器、自動車などが含まれています。なお、古物商許可証が必要な取引は、古物に当たる中古品の売買・レンタル・交換などが該当します。
古物を買い取り、そのまま売る・修理して売る・部品を売る・レンタルする・海外に輸出する
古物の買取が営利目的と認められる取引はおおむね古物商許可証が必要になります。また、買取ができる場所は営業所、取引相手の自宅、仮設店舗に限られており、違反すれば罰則が課せられます。
古物の買い取りはないが、委託販売で売れたら手数料を受け取る
委託販売や代理販売の際も古物商許可証は必要です。つまり、自分が許可証を持っていなくても、許可証を持っている人に取引を委託すれば、手数料はかかりますが販売が可能になります。
古物を別の商品と交換する
物々交換のように、たとえ取引にお金が発生しなくても、営利を目的とした取引と認められれば、古物商許可証の取得が必要になります。
1-3.【不要】古物商許可証不要の取引とは?
買取と認められない場合や国内法の適用範囲から外れる取引の場合は古物商許可証の取得は必要ありません。
自分の持ち物を売る
自分に所有権があるものを販売する場合は許可証を取得しなくても取引可能です。
手数料を受け取った上で回収した商品を売る
冒頭の取引例でご紹介したように、手数料を支払ってまで盗品を提供することは考えづらいため許可証を取得しなくても取引をおこなえます。
自分が売ったものを買い戻す
買い戻したものを再度販売する際も許可証は必要ありません。
海外で購入したものを売る
国内法の適用外になるため許可証は必要ありません。ただし、海外で購入したものを国内業者から買い取る場合は許可証が必要になりますのでご注意ください。
2.古物営業法の改正により申請方法が変更
令和2年(2020年)4月1日より古物営業法が改正され、申請方法が簡易化されました。
改正前では、古物営業をおこなう際は、各都道府県で許可証の申請が必要でした。例えば、事業者が営業所を設置している隣の県で古物営業をする場合、該当する県の許可証を取得する必要があったのです。つまり、全国で古物営業をおこなおうとするならば、全都道府県で古物商許可証を取得しなければなりませんでした。
古物商許可証の取得費用は1回19,000円ですので、47都道府県で取得するとなると約90万円の費用がかかることになります。
改正後の古物商許可証は全国共通に変更になりましたので、1度申請が通れば全国での営業が可能になりました。令和2年(2020年)4月1日以降に古物商許可証を取得する方は、19,000円の申請費用を支払えば、全国で古物営業を実施することができます。
注意点としては、改正前にすでに許可証を取得している場合、令和2年3月31日までに改めて許可を申請しなければ許可が失効してしまいます。許可が失効すれば無許可営業に該当する恐れがありますので、管轄の警察署に相談しましょう。新許可申請書と旧許可一覧表を持参すれば、無料で新許可証が交付されます。
3.古物商許可証の申請の手順
3-1.条件の事前確認
古物商許可証は、誰でも取得できるものではありません。許可証を発行しているのは警察を管理する公安委員会になりますので、公安委員会が認めない者には許可証は発行されません。
具体的には、破産手続き中の者・犯罪者・暴力行為の可能性がある者・暴力団員または退団から5年未満の者・住所不明の者・古物営業の許可取消から5年未満の者・業務に支障をきたす心身の故障が認められる者・未成年(婚姻や法人役員など例外あり)に該当する方は許可証の取得ができません。
ただし、上記に該当するか判断が難しいケースもあるかと思います。判断に迷った時は、ぜひ警察に相談するようにしてください。警察へ事前に相談することでスムーズな申請ができ、また、警察署によって求められる書類が異なるケースもあるため、申請のやり直しを防ぐ意味合いもあります。
3-2.必要書類を集める
古物商許可証の取得のための条件を確認できたら、必要書類を集めます。個人と法人の必要書類、その他警察から求められる書類についてご紹介します。
個人の必要書類としては、住民票・身分証明書・略歴書・誓約書の4つです。住民票は本籍地記載のもの、身分証明書は免許証などではなく、破産通知の有無などが記載された本籍地の役場で取得できる書類です。略歴書や誓約書は各公安委員会が指定する書式をダウンロードして記載します。
法人の必要書類としては、個人の資料に加えて、会社の定款と履歴事項全部証明書の写しを提出します。定款については、赤字で代表者の署名・捺印をする奥書をおこないます。また、役所から取り寄せる書類以外では、以下の書類の提出を求められることがありますので、詳細は営業所管轄の警察署に問い合わせるようにしましょう。
- 営業所の賃貸借契約書
- 営業所の見取図や周辺地図
- URL使用権限疎明資料
URL使用権限疎明資料は、ネットを通じて物品を販売する際に、申請者がそのサイトを使用できることを証明する書類になります。なお、提出する書類は申請日から3ヶ月以内に発行されたものに限るため、計画的に準備を進めることが大切です。
3-3.申請書作成ならびにチェック
各警察署のホームページから古物商許可証の申請用紙と記載例がダウンロードできます。
古物商許可証の申請書類は3種類あり、自治体から取得した住民票などを元に誤りのないよう記入します。古物商許可証の申請をおこなう「別記様式第1号その1(ア)」、営業所情報を記載する「別記様式第1号その2」、ネット販売をおこなう際のURLを記載する「別記様式第1号その4」があります。法人の場合は役員の情報を記載する「別記様式第1号その1(イ)」も用意します。
各警察署のホームページで申請用紙と記載例をダウンロードできますので、参考にしながら書き進めます。
3-4.警察署へ書類の提出
書類の準備と申請用紙の記入が完了したら、営業所の所在地域を管轄している警察署に提出します。申請書類を受理してから審査をおこない、許可が下りるまでには約40日間かかります。スムーズな手続きを進められるよう、電話で提出日の予約をしておくことをおすすめします。
申請時に持参するものとしては、申請書類と申請費用19,000円、免許証などの身分証明書、その他印鑑や委任状があります。審査が通過して許可が降りれば警察署から電話連絡がありますので、受け取りの際には免許証などの身分証明書と認印を持参して許可証の交付を受けます。
4.まとめ
古物商許可証について解説しました。古物商許可は法律に則って取引をおこなうための重要な手続きです。個人の副業感覚で物販をやるにしても、独立開業など本格的に事業でおこなうにしても必要となりますので、ぜひ古物商許可証の申請方法は把握しておいてください。