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2022年11月4日

フランチャイズ契約書を締結する際の注意すべきポイントを解説

フランチャイズに加盟する際はフランチャイズ契約を締結することになります。フランチャイズ契約とは、本部と加盟店で締結する店舗運営についてのルールのことですが、数ある項目の中でも特に注意すべきポイントが3つあります。契約期間と初期費用、中途解約についてです。記事内では他の注意ポイントもご紹介していますが、特に上記の3つはトラブルに発展しやすいこともあり、入念に確認する必要があります。フランチャイズ契約についての理解を深め、適切な店舗運営をするための知識を身につけましょう。

1.フランチャイズ契約とは?

フランチャイズ契約とは、フランチャイズ本部とフランチャイズ加盟店の間に結ばれる契約のことを指しています。フランチャイズ本部はブランドの商標を使用する権利や実績と経験からマニュアル化された店舗運営のノウハウを提供し、フランチャイズ加盟店はその対価として加盟金やロイヤリティの支払いを条件に契約を結びます。フランチャイズ加盟店それぞれに事業主であるオーナーがいますので、フランチャイズ本部とは雇用関係はなく、対等な関係性であると言えます。多いところでは一つのブランドで数千のフランチャイズ加盟店が存在するケースがありますが、基本的には全ての加盟店と同条件の契約を結ぶことになります。
また、フランチャイズ契約に似た契約方法として代理店契約がありますが、代理店契約の場合はロイヤリティが発生せず、その代わりに本部のノウハウの提供を受けることはありません。フランチャイズ契約には、本部に蓄積された経営ノウハウを利用しながらビジネスを展開できるメリットがあります。

2.フランチャイズ契約書の内容とは?

フランチャイズ契約書の内容とは?
本部と加盟店でフランチャイズ契約が結ばれるわけですが、その契約書には、フランチャイズ加盟店として店舗運営をするための30近い項目が記載されています。経営理念などを共有するためのフランチャイズ契約の目的に始まり、ブランドを使用するための商標の使用許諾、店舗運営のノウハウ提供やマニュアル遵守についての項目、加盟店が他の同一事業をおこなわない旨を確認する競業避止規定、フランチャイズ権利の譲渡禁止や秘密保持契約、加盟金やロイヤリティなど本部への支払いルール、契約期間や中途解約についての規定、その他契約違反時の対応方法などが定められています。契約書に記載の項目が多数あり、ルールも細かく定められているため契約内容を読み終えるだけでも一苦労ですが、後々のトラブル発生を回避するためにも、一言一句意味を確認しながら内容を理解することが大切です。次の項目では、フランチャイズ契約を結ぶ際に注意すべきポイントについてご紹介します。

3.フランチャイズ契約時に注意すべきポイントは?

フランチャイズ契約時に注意すべきポイントは?

 (1)特に注意すべき3つのポイント

フランチャイズ契約を結ぶ際は、必ず契約期間・初期費用・中途解約について確認するようにしましょう。トラブルに発生しやすい項目となっています。

契約期間

フランチャイズ契約で特に注意すべきポイントの1つ目は、契約期間についてです。
契約期間はブランドによって違いがありますが、おおむね3年〜5年程度が一般的な契約期間として定められています。ただし、投資資金の回収にかかる時間なども考慮する必要があるため、規模の大きいビジネスの場合は契約期間が長く設定されている傾向があり、規模が小さく比較的投資資金の回収までの期間が短く見積もられているビジネスの場合は、契約期間が短く設定されているケースが多いです。
例えばコンビニや飲食店などは規模が大きいフランチャイズビジネスであるため、契約期間は5年〜10年に設定されていることが多く、クリーニングやデリバリーサービスなどであれば投資金額の回収までの期間が短いため、1年〜3年で契約期間を設定しているブランドが多いです。また、契約を更新する際は自動更新か合意更新となりますが、合意更新の場合は双方が合意にいたらなければ契約更新は実施されません。

初期費用

2つ目のポイントは、開業のための初期費用に関する契約内容です。
フランチャイズの初期費用としては、フランチャイズ本部へ支払う加盟金や保証金、ロイヤリティやシステム使用料、開業に向けた準備を進めるための採用人件費や研修費、物件取得費や改装費、店舗への集客のための広告宣伝費用などがありますが、ブランドによっては研修費が加盟金に含まれていたり、別々の請求になるなど、初期費用の捉え方が異なります。
初期費用の内訳にはどのような項目があるのか、ロイヤリティなどはどのように算出されているのか、その計算方法などを確認し、本部が負担してくれる費用と自己負担となる費用を明確にしておくことが大切です。開業にいたらなかった場合の負担や費用の返還についても確認しておくと良いでしょう。金銭についての確認不足はトラブルになりやすい項目でもあるので、理解するまで徹底的に確認するようにします。

中途解約・違約金

3つ目の注意すべきポイントは、契約期間中の解約による違約金の発生についての内容です。
契約期間はブランドによってそれぞれの期間が定められていますが、契約期間の算出方法を確認しておき、いつを契約開始の日に定めるのかを知っておきましょう。契約開始日が分かれば契約期限の期日もわかるため、残りの日数を計算することができます。契約書に中途解約についての記載があれば、契約内容に従って手続きを進めることで、契約途中でも解約することができます。ただし、契約書内に中途解約の記載がない場合、原則としては一方的な中途解約はできないと捉えた方が良いでしょう。
契約期間中に中途解約する場合は、違約金の支払いが発生することになります。違約金の算出方法もブランドによってさまざまなので、契約書に記載がなければ本部に問い合わせ、自身でも計算できるようにしておくことが大切です。契約の残りの期間のロイヤリティ支払いが発生することもあります。

(2)その他注意すべきポイント

上記以外で注意すべきポイントとしては、ロイヤリティ・加盟金・商標の使用許諾・テリトリー制・商品の供給・競業避止義務がありますので、前項の3つの注意点とあわせて理解しておくことが大切です。

ロイヤリティ

ロイヤリティは、ブランドの使用や店舗運営ノウハウを提供してもらう代わりに、定期的にフランチャイズ本部へ支払う対価のことです。ロイヤリティは企業によって算出の仕方が異なり、毎回の支払い額が変動するケースがあるため注意が必要です。加盟するフランチャイズのロイヤリティがどのように算出されるかを把握しておくことで、毎月の資金計画も立てやすくなるでしょう。
裏を返すと、ロイヤリティの算出方法を知らなければ、資金繰りに苦労する可能性も出てきます。ロイヤリティの計算方法には定額方式・売上歩合方式・粗利分配方式があり、どの計算方法を採用しているのか、具体的な計算方法などを本部に確認しましょう。
また、システム使用料など、ロイヤリティ以外にも本部へ定期的に支払う費用もありますので、他の支払いがないかも問い合わせておくと良いでしょう。

加盟金

加盟金は、ブランドを使用したビジネスを展開する目的で本部とフランチャイズ契約をする際に支払う費用です。ロイヤリティと同様の意味合いがありますが、加盟金は加盟する時のみ支払いをおこないます。加盟金にはフランチャイズ本部が実施する開業前研修の費用が含まれている場合もありますので、加盟金を支払う際はその内訳についても確認しておきましょう。
企業によっては研修に種類があり、加盟金に含まれるものとそうでないものに分かれている場合もありますので、それらを踏まえて把握しておくことが大切です。また、万一開業までにいたらなかった場合、返還されるのか、その手続きはどうするのかまで確認しておくと、安心して事業に取り組むことができるはずです。

商標の使用許諾

商標の使用許諾とは、フランチャイズ本部が所有するブランドやロゴを、フランチャイズに加盟するオーナーのビジネスに使用することを許可することです。フランチャイズに加盟する最も大きなメリットは、すでに人々が認知していて実績のあるブランドを自分のビジネスに活かせることです。ただし、フランチャイズ本部が所有するブランドは商標登録され法律に守られていますので、好き勝手に使うことはできません。契約内容に違反するような方法でロゴなどを使用すれば、法律に抵触することになるため注意が必要です。
使用方法についての規定は企業ごとに細かく定められていますので、契約書に記載の内容を丁寧に確認するようにしましょう。契約に従い適切な方法でビジネスをすすめることで、フランチャイズ店舗としてのメリットを最大限に活かすことができるでしょう。

テリトリー制

テリトリー制とは、各フランチャイズ加盟店に対して営業地域を指定する制度です。フランチャイズ加盟店の各店舗は、指定された地域内で広告宣伝や営業活動をおこないます。ある程度の商圏を守る制度ではありますが、必ずしも独占的にビジネスができる権利というわけではありません。
テリトリー制には、一定の地域に対して他の店舗の出店を制限するクローズドテリトリー制と、地域は指定するものの他の店舗の出店の可能性があるオープンテリトリー制に分かれます。デリバリーなど細かな地域戦略が必要な場合はクローズドテリトリー制が採用されますが、ほとんどの企業ではオープンテリトリー制を採用しています。テリトリー制の具体的なルールは契約書に記載されていますので、ビジネス戦略を立てる際の参考にするためにも、規定をしっかり理解しておくことが大切です。

商品の供給

フランチャイズでは、どの店舗に来店しても品揃えやクオリティの変わらない商品やサービスを提供するために、扱う商品の種類や商品の供給量を指定するケースが多々あります。ユーザーとしてはどこの店舗でも変わらない満足感を得られるメリットがありますが、店舗としては不当に仕入れを強制させられないよう注意する必要があります。
仕組み上の関係性は対等とされていますが、実質的にはフランチャイズ本部が優位な立場にあり、運営上ある程度の強制力をもって事業が進められます。ただし、優位な立場を利用して、店舗へ不当な仕入れを強要した場合、独占禁止法の優越的地位の濫用に当たる場合があります。フランチャイズとしてのクオリティを保つのと仕入れの強要は線引きの見極めが曖昧なところがありますから、違和感を抱く場合は早めに本部へ相談するようにしましょう。

競業避止義務

競業避止義務とは、加盟しているフランチャイズが展開しているビジネスと類似の事業を、契約期間中もしくは契約期間が終了してから一定期間営業しないことを定めた規定です。他の加盟店の顧客や利益を確保することや、ノウハウの流出の防止を目的としています。フランチャイズを契約解除してビジネスをする場合、類似の事業に当たらないこと、競業避止義務の期間に該当しないことを確認しておく必要があります。

4.フランチャイズ契約書の確認方法

フランチャイズ契約書の確認方法
本部が用意するフランチャイズ契約書への署名が完了したら、晴れてフランチャイズ加盟店としてビジネスがスタートします。契約書への署名は記載内容をすべて理解・承認したことになりますから、署名の前に一つひとつの内容に誤解や紛らわしい表現がないかを確認しましょう。契約事項を上から順にじっくり目を通し、内容を漏れなく理解することが重要です。
例えばロイヤリティの支払いについて、利益に対する割合が定められていたとしたら、対象となる利益がどのような計算・内訳となるのかまで理解する必要があります。利益には売上から原価を引いた粗利益、必要経費を引いた営業利益、本業以外の損失などを差し引いた経常利益があります。また、企業によっては収入保証を宣伝文句としているケースもありますが、保証を受けられる条件や手続き方法など、細部にこだわりながら最終確認をおこないましょう。

5.フランチャイズ契約する際の便利な知識

フランチャイズの良いところは、業界未経験でもイチから知識を身につけられて、本部のサポートを受けながらビジネスを学び育てていける点にあります。ですが、契約については完全に理解・納得をしてから署名をしなくてはなりません。フランチャイズについて調べる段階で、できるだけ多くの情報に触れて契約についての知識を身につけて、契約内容の良し悪しを判断しなくてはなりません。
フランチャイズ本部以外の情報、フランチャイズ経験者からの情報、専門家からの情報などを参考にするのがおすすめです。フランチャイズ本部以外の情報としては中小企業庁や日本フランチャイズチェーン協会のサイトが参考になりますし、フランチャイズをすでに実践している先輩経験者から話を聞ければ鮮度の高い情報を獲得することができます。また、可能であれば、契約内容を弁護士や税理士などの専門家に見てもらうとトラブルを回避しやすくなります。

6.フランチャイズ契約でありがちなトラブル

(1)解約申請で、高額な違約金を請求された

解約についてのトラブルは、フランチャイズでなくても問題になりやすい事項です。解約の種類としては、契約満了・合意の上での解約・契約解除・中途解約の4つがあります。契約満了や合意の上での解約はルールに則った形での解約になるので問題になることはありません。ですが、契約解除や中途解約の場合、双方に意見の相違が発生することが多いため、トラブルになりやすい傾向があります。
契約解除とは、フランチャイズ加盟店の規約違反などを理由に、フランチャイズ本部から契約の終了を通知されることです。解約の原因が規約違反であるため、損害賠償を請求されるリスクがあります。中途解約は、何らかの理由によりビジネスを続けられなくなり、契約期間中に解約を申し出ることです。期間が残っていればその分フランチャイズ本部としては損失が発生するため、補填するための違約金が発生します。

(2)ロイヤリティが高くて利益が出ない

フランチャイズに加盟してビジネスをする際は、ブランドの使用や運営ノウハウの提供の対価として毎月ロイヤリティの支払いが発生します。ロイヤリティは企業によって算出方法が異なりますが、特に開業まもない店舗にとってはロイヤリティの負担が大きくなる傾向にあります。そのため、ロイヤリティが高くて利益が思うように出せず、困窮してしまうオーナーもいます。記事内ではロイヤリティには3つの計算方法があることをご紹介しましたが、企業によってはそれらを組み合わせて複雑な計算をしているケースもあります。契約時に、ロイヤリティの具体的な計算方法まで深く理解して、予想売上や必要経費などを考慮しながら、実際に取り組めるのかどうかを入念にシミュレーションしておくことが大切です。

(3)本部からの売上予測と実際の売上に大きな差があった

フランチャイズ本部は加盟店を増やすことで事業の拡大を目指しますが、加盟店の募集にあたっては、社内のデータの中でもできるだけ良い数値を広告に使うため、必ずしも全てのオーナーが広告に記載のあるような収益を初月から出せる訳ではありません。また、契約前には店舗運営のために、より具体的な収支シミュレーションを提示されるかと思いますが、過去の平均値などを元にしているため、実際に店舗が設置される地域で同じような結果が出る保証はありません。
本部の作成した売上予測は店舗運営にかかる費用をイメージするのには参考になりますが、理想的な売上数字を鵜呑みにしてしまうと、実際の数字を目の当たりにした時に必要以上に動揺してしまいます。もちろん理想的な売上に近づけるために、本部へのサポートを要請することは問題ではありませんので、差を埋めるための工夫や努力は必要になるでしょう。

(4)同じチェーンの店舗が近隣地域に開店した

フランチャイズでは、店舗の営業地域を指定するテリトリー制が契約内容に盛り込まれている場合がありますが、必ずしも店舗の商圏を独占的に確保するための規則ではありません。むしろ、事業の収益性を高めるためのマーケティング手法の一つとして、意図的に地域内でのシェア獲得を目指して同一地域内に複数店舗を出店させることもあります。同じチェーンの店舗が近隣地域に開店したとしても、売上にどのような影響があるかは様子を見る必要があります。本部側でも意図的に加盟店を密集させる手法をノウハウとして持っているのなら、同じように近くで開店したことに戸惑いを持つオーナーからの問い合わせを受けているはずです。気になることがあれば、対策も含めて早めに本部と相談するのがおすすめです。

7.まとめ

フランチャイズ契約について解説しました。フランチャイズ契約に記載される項目は30近くかそれ以上になりますが、今後の人生に大きく影響を与える契約になりますから、一言一句丁寧に読み進めながら内容を理解することが大切です。記事内でご紹介した注意すべきポイントは、トラブルにも発展しやすい項目でもありますので、再度確認して自身でも契約内容に不備がないかを判断できるようにしましょう。フランチャイズ契約の内容を理解することができれば、その知識が適切に店舗を運営するための助けになるはずです。

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