フランチャイズの投資回収期間
フランチャイズを始める際は初期投資が必要になりますが、開業に投じた資金をどれくらいの期間で回収できるか気になる人が多いようです。フランチャイズのイベントや説明会でもよく聞かれる質問のひとつですので、今回は具体的なシミュレーションも含めて投資回収期間の目安や計算方法についてご紹介します。
目次
1.投資回収期間とは?
投資回収期間とは、投資した資金を回収しビジネスを黒字化するまでに要した期間のことです。投資の回収を完了したビジネスは、以降の収益がプラスになるため、長く続けるほど利益を積み重ねることができます。想定通りの期間で投資を回収できれば2店舗目・3店舗目の出店も視野に入るため、ビジネスを計画的に拡大するには欠かせない指標です。
収支がプラスになるのだから投資回収期間はできるだけ短いほうがよいというのが一般的な捉え方ですが、ビジネスの業態や市場の成長性を考慮して、適切な投資回収期間を計画することが大切です。投資費用が大きく回収に時間がかかるけれど息の長いビジネスもあれば、投資費用が小さく回収も早いため多店舗展開しやすいビジネスもあります。実際にビジネスを選ぶ際は投資回収期間を含めた複数の要素を検討することが大切です。
2.フランチャイズの投資回収期間の算出方法
投資回収期間の目安や計算方法について解説します。
2-1.フランチャイズの投資回収期間の目安は?
フランチャイズ業界全体での投資回収期間の目安は3〜5年といわれています。ただし、小規模から大手企業が取り組むような大規模なビジネスまで含まれているため、個人オーナーが5年間の投資回収期間を設定するのは資金的に苦しくなるかもしれません。小中規模のビジネスであれば、1〜2年での回収を目指すのが業界の中での認識となっています。
インターネットやスマホの普及で時代の流れが加速し、新型コロナウイルスの感染拡大など突発的に消費者の生活を一変させる出来事も発生します。小中規模のビジネスを検討している場合は、比較的短いスパンでの回収が理想的といえます。ただし、3年以内に投資資金を回収できるのは小売業で3割、外食業で2割、サービス業で半数というデータがあるため、実際に1〜2年で回収するには競合に打ち勝ち上位に食い込めるビジネスを展開する必要があります。
2-2.フランチャイズの投資回収期間の計算方法
投資回収期間の計算方法自体はとてもシンプルで、投資額÷年間利益額が投資回収期間になります。例えば投資額が1,000万円の場合、年間利益額が500万円であれば、投資回収期間は2年となります。逆算して投資回収期間を2年に設定したい場合は、想定される年間利益額に年数を掛ければ、初期投資できる金額の上限を計算することができます。フランチャイズに加盟する際は、本部から収支シミュレーションを確認し、投資回収期間を計算してみましょう。
2-3.フランチャイズの収支シミュレーション例
投資回収期間の算出方法を収支シミュレーションの例を使用して見てみましょう。下記の表では、自分を含め5〜6人のスタッフで店舗を運営し、売上原価を引いて得られる粗利率40%のビジネスと想定します。年間売上1億円で粗利益4,000万円となり、そこから販売などに関する費用を差し引いて1,200万円の利益が残るシミュレーションとなります。
売上 | 1億円 |
売上原価 | 6,000万円 |
粗利益 | 4,000万円 |
販売費 | 1,000万円 |
人件費 | 1,000万円 |
管理費 | 800万円 |
営業利益 | 1,200万円 |
売上原価は仕入れや商品原価のことで、売上に対する原価率は60%を想定しています。原価率を下げることができれば、粗利益を増やすことも可能です。販売費は広告宣伝費が月50万円、消耗品や備品、運搬などで年間400万円と計算しています。広告費は削れるかもしれませんが、年間売上1億円を達成するためにどれだけ効率的な宣伝ができるかがカギとなるでしょう。管理費にはロイヤリティやシステム利用料、家賃や水道光熱費、通信費などが含まれており、年間で800万円を想定しています。シミュレーションで計算された年間の営業利益額は1,200万円ですので、初期投資額1,500万円であれば、1年3ヶ月で投資回収が完了する計算です。上記のシミュレーションを実現するための具体的な戦略を立案できれば、1年~2年以内で完了できるはずです。
3.フランチャイズにおいて単月黒字化し始める時期は?
投資回収はビジネスでの収支が黒字化してからスタートします。いかに早く黒字化できるかが投資回収を計画的に進めるには重要になります。すでにフランチャイズビジネスをしている先輩オーナーの12.5%が2ヶ月以内の黒字化に成功しており、半年以内であれば22.5%、1年以内であれば全体の37.5%が単月での黒字化に成功しているというデータがあります。一方で、22.5%は黒字化できても安定していないという回答もあります。
4.フランチャイズの投資回収期間を短縮する方法
回収期間をできるだけ短くするためには、できるかぎり支出を下げて、収益を上げる努力が必要です。支出を下げる手段としては、出資金を減らし経費を下げることです。規模の小さいビジネスを選べば初期投資を減らせますし、融資や補助金を利用すれば、手出しの資金が小さくなります。無店舗や最小限のスペースにすれば家賃を抑えられ、インターネットを中心とした広告・販売で効率的な運営ができる可能性があります。また、収益を上げるには成長市場での開業が欠かせません。成長市場には新規のお客さんが多く、お金が自然と集まる環境にあるため、市場の後押しを得て収益を伸ばせるはずです。
5.まとめ
フランチャイズの投資回収期間について解説しました。投資回収期間はフランチャイズ選びの要素の1つではありますが、見過ごすことはできない指標です。記事の内容を見直して、ぜひフランチャイズ開業の参考にしてください。